『ゴルフ場殺人事件』(アガサ・クリスティー)

ハヤカワ・ミステリ文庫 田村隆一訳
《フランス滞在中の富豪ルノールから手紙で助けを求められ駆けつけたポアロを待っていたのは、ゴルフ場で刺殺された富豪の死体だった。現場では名探偵の呼び声高いパリ警察のジロー刑事が捜査を開始していた。こうして英仏の名探偵が知恵比べを展開する中、浮浪者が殺される事件が起こった。しかも凶器はルノール殺しと同じナイフなのだ! 富豪と浮浪者、何の関係もなさそうな二人を結びつけるものは?》

ポアロの口癖「モナミ」が「モミナ」と誤植されていた(笑)

どんでん返しを狙いすぎてくどくなっている感じがした。
話の中盤でいきなり出てくる過去の事件も唐突で、本当にこの事件が話の本筋に関わってるんだろうかと疑いながら読んでました。ジロー刑事とポアロの腕比べも中途半端だし、読み終わって残る印象というと「ヘイスティングスの恋愛物」と、これだけ。でもシンデレラにヘイスティングスが結婚するほど惹かれた理由もいまいちよく分からない。

タイトルは『ゴルフ場殺人事件』ですが、ゴルフ場はあまり印象に残りませんでした。「クリスティいの、ゴルフ場で起きた殺人事件の話」と言われて思い出すのはこの作品より『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』の方だろうな。

<以下ネタバレ含む>

(1)警察が容疑者を逮捕
 ↓
(2)でも探偵は別の人物が真犯人ではないかと疑っている
 ↓
(3)それとは別の意外な人物が犯行を自供
 ↓
(4)更に別の意外な人物が真犯人だった

(3)の時点で充分意外性があるのに(4)までやっちゃったもんだからくどくなってしまった感じがします。しかも(3)の段階でまだページが結構余ってたから、この後またどんでん返しが来るんだろうなという予測もできたのでそれほどの驚きもなかった。
被害者自身が期せずしてお膳立てを整えてしまっていた、という設定は面白いと思いました。ただ、その設定と過去の事件云々はミスマッチというか、せっかく面白かったのに大味になってしまったなあという感じ。